朝鮮王朝時代、実際に起きた米びつ事件の悲劇を描いた『王の運命―歴史を変えた八日間―』がいよいよ今日から日本でも公開！
ドラマ『イ・サン』を見ていた人は必見かもしれない。
そもそも父王が跡継ぎとなるはずの息子を米びつに閉じ込めるなんて前代未聞の話。あまりに悲しい父と息子の悲しい物語と思う。
『王の運命（さだめ）―歴史を変えた八日間―』
（原題：『思悼（サド）』 2015年／韓国／125分）
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2016年6月4日（土）よりシネマート新宿ほか全国順次公開
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。
映画あらすじ
朝鮮第21代国王の英祖（ソン・ガンホ）
40歳を過ぎてから授かった息子（ユ・アイン）を優れた世子（＝王位継承者）に育てあげようとするが―。
世子は芸術と武芸を好み、自由な生き方を望むように
英祖の期待は怒りと失望に変わってしまう
世子もまた―
親子として接することのできない王に憎悪にも似た複雑な思いを募らせる。
ここに世子を失脚させようとする反対勢力の策略も加わる。
小さな衝突の繰り返しはやがて大きな確執へと変わっていく―
心の溝を埋められないまま、二人の関係は悪化する一方だった。
ついに謀反にかこつけて、世子に自害を迫る英祖
英祖の命令で、世子は廃位となり、米びつに閉じ込めらる
父と息子の悲劇の八日間が始まったが―。
その後、世子がどうなったかはドラマを見られていた方や韓国の歴史に興味のある方はご存知ですよね。
英祖が、地位を回復させた息子につけた贈り名は“思悼世子”。
「思い、悲しむ」を意味している。
*****
こちらは思悼世子の息子イ・サン
成長した正祖はソ・ジソプが演じている。短いシーンながらとても泣けるはずだった。
えっ、「はず」！？
そう。
一番泣ける場面で絶句したのが恵慶宮（ムン・グニョン）の特殊メイク。
ムン・グニョンは世子の正室を演じたわけだけど、童顔の彼女が60歳になったという設定で、大人になった正祖（ソ・ジソプ）のシーンに悲惨な特殊メイクで出てくる。
あれはいくらなんでも…、ひどすぎる（汗）。
正祖が亡き父を思い、泣き笑いするシーンで見ているこちらも泣きそうになっていたのに、チラチラ映るムン・グニョンの特殊メイクが面白すぎて、吹き出しそうになる始末。
泣きたいのに泣けない。ゆえにこちらもソ・ジソプのように泣き笑いに…。
この時点で気づいた。中盤から感じていた違和感に。
ムン・グニョンだけが妙に浮いていたと！
英祖を演じるソン・ガンホと、悲しい思悼を演じるユ・アインがそれこそ命がけで演技対決をしている。
そんな中、ムン・グニョンだけが置き去りにされて疎外感を覚えているような…。そんな違和感。
この作品、メイクがおかしなことになっているのはムン・グニョンだけじゃない。
英祖の側室で思悼の母親の暎嬪（チョン・ヘジン）も―
中途半端な老けメイク。
老けたというより、ガン黒になってシミがたくさん増えただけ。
長い年月を表現したかったのは分かるけど、「どこか内臓でも悪いのでは」と思わせる顔色。
メイクが役者の演技を邪魔しているような、そんな気がして終盤のシーンには集中できなかった。
ストーリーはとても興味深く、親子がすれ違っていった過程を見ていくと、やはり悲しいし、政治の世界の怖さも感じる。
英祖が在位中、5回も息子の世子に譲位しようとしていたのも初めて知った。世子はその都度、ムシロの上に座り、「王様、どうかお考え直しを～！」とやらなきゃいけないので、そうした出来事も後に確執を大きくする一因となったのが伺える。
世子が父王の公務を代理で遂行する代理聴政が行われたのはまだ15歳のときのこと。
少しでも父王から激励されていたなら、また違った親子関係を築けたかもしれないが、このとき英祖が浴びせたのは怒号と暴言だった。
ただでさえ、プレッシャーが大きいのに、世子が深く傷つき、精神状態が不安定になっていったのも理解できた。
朝鮮王朝の歴代の君主の中でもっとも長生きし、もっとも長い在位期間を誇る英祖だけど、必ずしも良き父親とはいえなかったのね。
そうそう！
ミュージカルでも活躍しているチェ・ミンチョルが冒頭から出演。世子の家臣の中でもかなり目立つほう。さすがに滑舌が良く、存在感もあった♪
で、ロッテのお家騒動はどーなるの！？
オススメ度 ★★★☆☆
ベテラン DVD 飛ぶ鳥を落とす勢いのユ・アイン。 |