年明け一発目の映画なんで、本当は胸がキュンとするような恋愛映画がよかったんだけどw
よりによってキム・ギドク監督作品『殺されたミンジュ』。
のっけからヘビーな映画になっちゃった(笑)。
実際は2PMチャンソン主演の『ダイナマイト・ファミリー』にする予定が、台湾に行ってしまったので、こちらはDVD化のタイミングであらためてUPしたいと思う。
そんなこんなで年始にはあまりふさわしくない作品だが、韓国社会の“今”がリアルに描かれている点が興味深い。
旅行では決して目にすることのない、韓国の側面が見えるので、「もっと韓国のことをよく知りたい!」という方にはオススメ。
また、キム・ギドク監督作品にしては描写などがそこまでグロくないので「この監督の作品って、どんな感じなの?」と、興味のある人には見やすいかも。
『メビウス』と比べると、相当まともな感じよ。
『殺されたミンジュ』
(原題:『ONE ON ONE』2014年/韓国/122分)
(C)2014 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.
2016年1月16日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー!!
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。
映画あらすじ
ある夜、ソウル市内で一人の女子高生が無残に殺された。
彼女の名はミンジュ
なぜ殺されたのか。
巨大なソウルの街は彼女の死を呑み込み、それを問う人さえいない―
一年後、謎の集団がミンジュの死の真相を求めて動き始めた
ミンジュ殺害に関わった容疑者は7人の男たち
その一人(キム・ヨンミン)が誘拐され・・・
拷問を加えられた挙句、自白をして許しを請う
自由自在に変装して、一人ずつ誘拐していく謎の集団
一方、自白した男の中には罪悪感で自殺する者も・・・
謎の集団も窮地に立たされたメンバーばかり
やがて容疑者たちの背後にある“国家”という大きな力を感じ、謎の集団は結束と平静さを失っていく。
最後の容疑者にたどり着いたとき、見えてくる真相
そのとき、謎の集団のリーダー(マ・ドンソク)は・・・。
序盤、少し分かりづらかったけれど、キム・ヨンミンが一人8役を演じている。
*****
謎の集団や容疑者の一人一人が韓国社会の中で抱える事情に、やりきれなさを感じる。
そして、その不平不満を解消しようにも、“暴力”では何一つ変わらないのだと痛感させられた。
胃に残るモヤッとした感じはイ・ビョンホン主演の『悪魔を見た』のときと似ている。あれはあれで違った意味で強烈だったけどw
痛烈に社会風刺するキム・ギドク監督の仕掛けに無意味なことは何一つない。
例えば、殺された女子高生ミンジュという名も、漢字にすると”民主”となり、失われていく民主を象徴していたり。
原題『One On One』の“一対一”も面白い。
社会での優劣も、暴力によって一瞬で変わってしまう。
誰の立場に立って本作を見るかによって、解釈の仕方も少し違ってくるのでは。
謎の集団のリーダー演じるマ・ドンソクのセリフ一つ一つも重い。
見ている観客に対しても、「この社会で起きている現実から目をそらすな」と突きつけている気がして…。
試写後の後味の悪さは、やっぱりキム・ギドク作品ならでは
他人事と思えば、つまらない映画。
そうでない人には考えさせられる映画。
見る人によって、全然違った印象を受けそうね。
オススメ度 ★★★☆☆
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