読書の秋。
この季節に読んでおきたい一冊。
韓国で130万部も売れたという大ベストセラー。
『82年生まれ、キム・ジヨン』
韓国では大きな話題となり、日本でも16万部を突破!
2019年の上半期で第1位というから驚いた。
単にフェミニズムを扱った小説ではない。
そこに書かれている内容は、ある女性のカルテだ。
小説の中ではキム・ジヨンとなっているが、韓国社会に置かれた女性たちの生きづらさが描かれている。
日本語版の表紙が物語る“顔のない女性”
この女性の人生は、韓国の一般的な女性のテンプレートのようであり、自分の顔がピタリと当てはまる。
裏表紙
これ以上の表紙はなかったんじゃないかと思えるほど、日本語版の装画が素晴らしい。
韓国映画『82年生まれ、キム・ジヨン』も来週10月9日(金)より全国で公開される。
小説と映画は違った印象を受けるが、訳者は「小説がカルテなら、映画は処方箋」と位置づけた。たしかにそうかもしれない。
ちなみに、私はまったくフェミニストではない。アンチでもないけど、フェミニストとは対極にいるかもしれない。
「女性に生まれて損をした」と思ったことは一度もなく、むしろ「得してる」とさえ感じている。
過去には普通に国家公務員試験に受かり、仕事していた。
時代が男女共同参画社会に入っていたので、差別を受けたと感じたこともない。
私が鈍感なだけかもしれないけど、女だからといって強いストレスを感じたことはなく、毎月、生理休暇はしっかりと取った。
セクハラされたこともあるが、私にセクハラした人はその後、悲惨な末路をたどってる。おそらくセクハラしたことを心底、悔やんだことだろう。
当時、先輩や上司からはとにかくよくゴチしてもらった。
実はこの年になってもまだ、人からゴチしていただくことがある。
もし私が男だったら、3万円を超えるコース料理を果たしてゴチしてもらえたのだろうか?
そう考えると、女だから得していることのほうがはるかに多く、生まれ変わってもヤッパリ女性でありたいと強く願っている。
というわけで、どちらかといえば私はターゲット層から外れた存在だけど、それでも小説は興味深く読めた。
正直、「ネガティブに考えすぎてないか」と思えるエピソードもあったが、韓国の女性たちが抱えているモヤッとした感じは伝わってきたし、言わんとすることも理解できた。
この本を読んだからといって、自分が一転してフェミニストになることはまずないけど、日本でも東京医大の不正入試事件など、あからさまな女性差別は起こっている。
また、自民党の女性議員が「女はいくらでもウソをつける」と発言した上、「そんな発言はしていない」と大嘘をついた。
こうしたことに、私たち女性はもっと怒ったほうがいいんじゃないかと感じた。