衝撃の韓国映画『国家が破産する日』がついに来週、日本でも公開される。
今もうっすらと記憶に残るアジア通貨危機。もう22年も前になるんだー。って、自分が22歳も年を取ったことに愕然とするw
『国家が破産する日』
(原題:『国家不渡りの日』/2018年/韓国/114分)
ⓒ 2018 ZIP CINEMA, CJ ENM CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED
2019年11月8日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。
映画あらすじ
韓国が好況ムードに包まれていた1997年11月15日。
韓国銀行の通貨政策チーム長ハン・シヒョン(キム・ヘス)
彼女は国家破産まで残された時間は7日間と、通貨危機に関する報告書を出す。
対策チームが招集され、「国民に危機を知らせるべき」と主張するシヒョンだったが、国家破産の危機は非公開とされる。
財務局のパク次官(チョ・ウジン)が「混乱を招くだけ」と反対したからだ。その一方でパク次官はひそかに有力財閥に金融危機の情報を流す。
金融コンサルタントのユン・ジョンハク(ユ・アイン)
彼は政府が隠そうとしている金融危機を独自に察知。さっさと勤務先のノンバンクを辞めて独立し、この国家的な危機をチャンスに変えようとする。
一方、食器工場の経営者ガプス(ホ・ジュノ)
国家がそんな危機に陥っているとは思わず、ミドパ百貨店からの大量注文を喜び、手形決済という条件を受け入れてしまう。
緊急調査を開始したシヒョンは企業の無謀さ、銀行のズサンさ、銀行監督局の怠慢を目の当たりにする。
その頃、ユン・ジョンハクはウォンの暴落を予想し、投資家たちを連れてドルを買い漁るのだった。
そして、いよいよミドパ百貨店が不渡りを出す寸前というニュースが流れ、驚愕したガプスは取引先への支払いのために自宅マンションの売却を考える。
だが、中小規模のマンションは値下がりしつつあった。
そのマンションを一気に買い占めようとしていたのがユン・ジョンハクだった。
ついに企業の連鎖倒産が相次ぎ、パク次官はIMF(国際通貨基金)に支援を求めようと提案。
シヒョンらは大反対する。IMFが国の経済全般に介入し、主導権を握る可能性もあるためだ。
だが、IMF主導での経済構造改革をもくろむパク次官は独断でIMFの専務理事の入国手配を指示し―。
*****
言うまでもなく、1997年に韓国で起きた通貨危機を映画化したもの。
韓国で起きた通貨危機というより、発端はタイのバーツ暴落で、アジア全体の通貨危機だったと記憶している。
というのも、そうした不穏なニュースが報じられたとき、ちょうど香港にいて、これから一体なにが起こるんだろ?と不安になったのをうっすらと覚えている。
奇しくも韓国はOECD(経済協力開発機構)に加盟したばかりで、国内はちょっとした好景気ムードだったらしい。けど、その好景気は実態を伴っていなかったということなのか。すでに国家破産へのカウントダウンが始まっていたことになる。
こうした出来事は日本にとっても対岸の火事ではない。山一證券の廃業はまさに同時期だった。
映画を見れば、このときの韓国の状況がよく分かるのかと思ったら、そうでもなかった。
当時のIMF(国際通貨基金)と韓国政府の交渉内容は今もよく知られていないらしい。
この映画は「当時、非公開で運営された対策チームがあった」という記事から着想を得ている。
シヒョンも架空の人物だし、そもそもが非公開だった対策チーム。その面々が明らかにされる日は永遠に来ないかもしれない。
映画の中で財務局の次官が財閥の後継者に情報を流すシーンがあるけど、あれはリアルと思えた。当時だけでなく、今も行われているのではないかと想像してしまう。
最悪なのはそうした情報が行き渡らない人々だ。気づいた頃にはすべて失っているという。結果、多くの自殺者が出た。
この22年前の悲劇は絶対に繰り返してはいけないはずなのに、韓国って、そこらへんの構造は今も変わらないのではないかと思えてならない。
オススメ度 ★★★☆☆
MASTER/マスター [DVD] こちらも韓国で実際に起きた出来事がベース。 経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫) |