取材&お知らせ

韓国映画の女性監督が語る“イマドキの韓国人女性”とは

投稿日:2012年11月30日   

 

明日12月1日から韓国映画『秘密のオブジェクト』が日本でも公開される。

 
前回も書いたように、LA国際女性映画祭2012 BEST OF FESTIVALを受賞
秘密のオブジェクト:メイン

 
演出だけでなく、脚本も手がけたのは女性のイ・ヨンミ監督
秘密のオブジェクト-監督1

今回、別媒体で監督にインタビューさせていただき、この拙サイトにもヒロインを演じた女優チャン・ソヒのことなど答えていただいた。最後にメッセージまでくださり、本当にありがたい。

 
―本作のヒロインの条件とはどんなものでしたか?
役柄の40歳に近い女優で、演技の経験がある人。教授という役をちゃんとこなしてくれる一方、どこか秘密を持っているような、そして少女性を持った人を探していました。

秘密のオブジェクト-教授と生徒

 
―チャン・ソヒさんはピッタリでしたか?
もう少し女性としての強さや毒々しさが欲しいとは思ったのですが、それは海鮮屋の女性が表現してくれました。かえって、2人の女性がより対照的な人物描写になって良かったと思います。
それぞれが同じくらいの年齢ですが、まったく逆のタイプですね。
結果的にチャン・ソヒさんで良かったです。

秘密のオブジェクト-チャン・ソヒ

 
―チャンン・ソヒさんは過去にドラマ『妻の誘惑』で“悪女メイク”を流行らせたことがありますよね。今回のメイクやヘアスタイルも監督が指示したのでしょうか?
特に指示はしなかったのですが、最初にお会いしたときは、ドラマ『愛の選択~産婦人科の女医~』の撮影後で髪が短かったんです(笑)。
実は、ヘジョン役は髪の長い女性をイメージしていたので「どうしようかな」と思いましたが、より女性らしく見えることに変わりはなく、今は良かったと思っています。
メイクに関しては、無理に若く見せようと思いませんでした。

秘密のオブジェクト-年の差カップル

―相手役は21歳という設定ですが、童顔メイクはNGですか?
年を取ればシワが出てくるものですし、演技でカバーしていく方がよほど大事なので、若く見えるようなメイクはしてほしくなかったんです。
チャン・ソヒさんが若く見えると、男性との年の差が分からなくなってしまいます。ちゃんと年の差が見えて、なおかつ、そういう女性が欲望に対してどう向き合うかを描きたかったんです。

秘密のオブジェクト-チョン・ソグォン

―年を取ると恋愛にも臆病になりがち。しかも今回は相手が若い! 戸惑うヒロインに共感できました。
年齢を重ねることは恥ずかしがることではなく、20代と40代とで体が違うのは当然ですが、それぞれの年に相応しい美しさがあると思います。
ですから、今自分が持っているもので勝負していけるのがいいですね。自分の中にあるものを恥ずかしがらず、持っているものを出したいと思いました。

 
―ところで、韓国は離婚率が高いことで知られています。今も離婚した女性に対するダメージは大きいのでしょうか?
昔よりは良くなったと思います。
(結婚生活から)「帰ってきた独身」でトルシン(トラオダ&シングルの略。差別的な意味合いも含む)という言葉もありますが、最近の離婚率の高さでも分かるように、お友達でもトルシンが多いです。
昔はどんなに辛くても、どんなに貧しくても、離婚するよりは良いと言われるくらい、離婚に対する偏見が強かったので女性は我慢して生きていました。
しかし、最近は女性も社会的な地位が上がったことも関係していて、離婚率が上がりました。離婚したことも堂々と発表したり、次の相手を探したり、シングルマザーとしてしっかり生きている人もいます。

 
―具体的にはいつから変化したのでしょうか?
ガラッと変わったのは2000年くらいからでしょうか。IMF経済危機が起きて、男性もリストラにあったりして経済的に本当にひどい時期が来ました。
それを機会に女性も働かなければならなくなり、逆に言えば女性が外で働くのが当然のように変わりました。それをきっかけに変化したような気がします。

 
―そうやって女性が強くなったんですね。
結果として女性の声が強くなりましたね。社会的地位が上がっただけでなく、結婚するしないに関わらず人生に対する欲が強くなったんです。ちゃんと自分の人生を充実させる為の主張が出来るようになりました。
女性がどんどん変わっていく中で、この映画が少しでも役に立てばと思っています。

 
―チャン・ソヒさんに限らず、韓国の女優さんたちは素肌が美しいですね。皆さん、どんな点に気を遣っているのでしょうか?
女優さんたちは画面にクローズアップされる仕事ですし、最近のTVはとても画質がいいので、皆さん、すごくよく管理をしていると思います。
私自身も、どんなに仕事が大変でも5時に家を出るならば4時には起きて化粧をします。

 
―それって、とても大変ですよね。
大変でも、そういう気持ちを大事にしています。
先ほど「仕事と愛とどちらが大事か?」という話もありましたが、両方を持つのは大変ですよね。
仕事も大事だけど、愛も大事。どんな社会的地位の人でもそういう部分はありますので、大事にしたいです。80歳になっても女性は女性なので、皆さん大事にしていると思います。

秘密のオブジェクト-アラフォー女性

―このサイトを読んでくださる方に一言
30~40代の女性たちには、2人の女性を見ながら欲望に正直に向き合い、自分のことのように感じてもらえたら嬉しいです。男性には、誰もが持っているであろう寂しさについて、もう一度考えてほしいです。
そして、今まで隠していた気持ちを出してほしいですね。

秘密のオブジェクト-監督2

イ・ヨンミ監督、ありがとうございました!

<<新しい記事 
<今日の一杯> 試写会とセットで食べたい柚子ラーメン@有楽町
  前の記事 >>
韓国映画『リターン・トゥ・ベース』『秘密のオブジェクト』

おすすめ記事と広告

-取材&お知らせ

Copyright© 韓美生活 , 2025 AllRights Reserved.