試写会でかなり“ぶっ飛んだ”作品というべきか。
良くも悪くも、ここ半年間で一番印象に残った(汗)。
1本の映画をこんなに緊張しながら観たのはいつぶりだろう。思い出せない。
とにかく、明日26日(土)に『悪魔を見た』が公開される。
劇場に足を運んだ方は、ラストシーンでの衝撃に絶句するものと思われる。
『悪魔を見た』
(2010年/韓国/144分)
©2010 PEPPERMINT&COMPANY CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
2011年2月26日(土)より丸の内ルーブルほか全国ロードショー
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。
映画あらすじ
婚約者を惨殺された男の復讐物語。
国家情報院捜査官スヒョン(イ・ビョンホン)の婚約者の死体の一部が発見される事件が発生した。
真犯人は連続殺人鬼ギョンチョル(チェ・ミンシク)
極秘で捜査に乗り出したスヒョン
彼はギョンチョルを捕まえ、体の中にマイク付きのGPSチップの入ったカプセルを飲ませて解放する。
スヒョンはギョンチョルが犯行に及ぼうとするたびに現れ、アキレス腱を切るなどの残虐な制裁を加えていく。
やがてギョンチョルは―
衝撃のラストシーンで観客が目にするものは!?
*****
復讐物語だけど、そんな単純な話で終わらせないのが韓国映画のスゴイところ。
韓国では過激な描写が問題視され、公開さえ危ぶまれた作品。
きっと日本での公開ではそういうシーンをカットするんだろうな…と想像していたら、関係者からキッパリ否定されたよ。「ほとんどカットしていません」と(笑)。
なので、劇場に行かれる方は覚悟してね。
中途半端に演出されたシーンなど一つもないから。
目を覆いたくなるような場面が多く、暴力シーンなどはかなり突き抜けていて容赦ない。
それなのに、後半になると思わず笑ってしまう。
想像を超えるシーンの連続で、ついには自分の感覚も麻痺したみたい。
つまり、正気じゃ観られないってこと(爆)。
そう書いてしまうと、ドン引きされるかもしれないけど、恋人を失った深い悲しみや、彼女を守りきれなかった悔しさ、幸せを奪った男に対する憎悪…。それらの心情が根底にきちんと描かれていた。
登場人物の内面を描くのに、ヤッパリどのシーンも必要だったんだと思う。
キャスティングについては、これ以上にハマる俳優はない。
イ・ビョンホンとチェ・ミンシクをキャスティングできた段階で、映画の成功は約束されたも同然だったのではないかと。
スクリーンで2人の命がけの対決を観るだけでも、劇場に行く価値はある。
特にチェ・ミンシク!
ソル・ギョングでもなく、ソン・ガンホでもない。
この悪魔のような男は、チェ・ミンシクでなければならなかったと思う。
悪魔、怪物、獣…。でもこの人にしか演じられない。
イ・ビョンホンも“孤独な男”だった。
恋人の遺体が発見された河原でのシーンが印象的で、彼の姿に胸が痛む。
この映画に限らず、ほかの作品でも彼が泣いていると、こちらまで悲しくなる。
スクリーンでチェ・ミンシクと闘う今回のキャラクターにイ・ビョンホン以外の俳優は考えられない。
こんなに“孤独”や“哀愁”が似合う男はそういない…。
そういえば、イ・ジュニョクも特別出演していた。
『甘い人生』で最後にオイシイところを持っていったエリックのような存在ではなかったけどw
怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。
お前が深淵を覗き込む時、深淵もまたお前を覗き込んでいるのだ。
―フリードリヒ・ニーチェ「善悪の彼岸」146節より―