バタバタしているうちに、あっという間に8月も終わり。韓国映画『復讐の記憶』も公開される。
『復讐の記憶』
(原題:『リメンバー』/2022年/韓国/128分)
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2023年9月1日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。
映画あらすじ
80歳を超えたハン・ピルジュ(イ・ソンミン)
ファミレス「TGI フライデーズ」の店員として若者たちに混じって働き、皆から“フレディ”の愛称で親しまれていた。
20代のバイト仲間であるインギュ(ナム・ジュヒョク)とは親友
インギュは“フレディ”から“ジェイソン”と呼ばれている。
いつも陽気なピルジュだが、実はアルツハイマーが進行
最愛の妻にも先立たれ、彼はいよいよ退職を決意。
60年間、胸に秘めていた“復讐”を実行することに―
日本統治時代―、ピルジュは理不尽な形で家族全員を奪われてしまった。その記憶だけは忘れまいと、“会いたい人たち”の名を手指にタトゥーして刻んでいる。
問題は車の運転だった。高齢者のピルジュは運転免許をすでに返納していたのだ。
そこでインギュに運転を依頼
死ぬ前に乗ってみたかったというポルシェをレンタルし、インギュもポルシェを運転できることを喜ぶのだった。
だが笑っていられたのも束の間。ピルジュはついに復讐を決行する。
知らぬ間に復讐劇に巻き込まれていくインギュ
彼は一夜にして、身に覚えのない殺人犯にされるのだった―。
*****
認知症の老人ピルジュが“バケットリスト”、つまりは死ぬ前にしたいことを叶えていく。それだけ聞くと素敵だが、彼の願いは戦時中に自分から家族を奪った親日家たちに復讐することだった。
私は知らないで観たけど、元ネタはアトム・エゴヤン監督の『手紙は憶えている』(15)。そっちはナチスの兵士が復讐相手だが、こちらは家族を破滅に追いやった親日派たちがターゲットとなる。
設定自体が違うのでリメイクとは言い難いが、『手紙は憶えている』のほうが尺も短く、ラストも衝撃的だった。
ストーリーはいわゆる“私刑”で、Amazonプライムで配信中の韓国ドラマ『国民死刑投票』とも重なった。
ピルジュが認知症で、しかも病気も患い、途中、吐血もしている様子を見ると、かなり無理のある設定にも思えるが、最後の展開ではそんなことがどうでもよくなるほど胸が痛んだ。
ストーリー的には『手紙は憶えている』のほうがもっと無理があるように感じるので、そこはもう気にしないほうが作品に没頭できる。
冒頭のアルバイト先「TGI フライデーズ」でピルジュとインギュが互いを呼び合うシーンは、普通に店名からつけた愛称と思って観ていたけど、観終わってみるとそのあたりも考えさせられた。
本作は、韓国で昨年10月下旬に『告白、あるいは完璧な弁護』と同日に公開され、41万人を動員。
『告白~』のほうが73.8万人も動員していたのはちょっと意外。
本作は若干、尺が長く感じられたのが残念だったかも。やや間延びした感が否めない。
オススメ度 ★★☆☆☆
手紙は憶えている(字幕版) 元ネタだけど、こっちのほうがより残酷かも。 |