年明け早々だけど、衝撃作が日本でも公開される。
韓国映画『The NET 網に囚われた男』。
残酷すぎて、めでたい正月気分は吹っ飛ぶと思われる(汗)。
『The NET 網に囚われた男』
(原題:『網』2016年/韓国/112分)
©2016 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.
2017年1月7日(土)よりシネマカリテほか全国順次公開
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。
映画あらすじ
北朝鮮の寒村で妻子と暮らす漁師チョル(リュ・スンボム)。
生活は貧しいが、平凡な日々を送っていた。
その朝もボートで漁に出るが、魚網がエンジンに絡まり、ボートのモーターが故障。チョルの意に反して、ボートは韓国側へと流されていく。
韓国警察に拘束されたチョル
スパイ容疑で取り調べ官(キム・ヨンミン)から執拗な尋問を受けることに―。
その取り調べは残忍なものだった。
監視役の警護官オ・ジヌ(イ・ウォングン)はチョルに同情
家族の元に帰りたいと願うチョルの潔白を信じる。
そんなとき、チョルはソウルの繁華街に放置された。彼は経済的に繁栄しているはずの韓国社会の矛盾に気づく。
資本主義国家の誘惑を退けていたチョルは、やがて北朝鮮に送還される。
だが彼を待ち受けていたのはいっそう過酷な運命だった―。
*****
人は生まれてくるときに親も選べないけど、国も選べない。
そんな当たり前のことを痛感した1本だった。
自分が日本に生まれてきて幸せだから、普段はそんなことを考えてもみないけど。
原題の『網』というタイトルが素晴らしいと思った。
“網”とは私たちにとって何なのか…。
エンドロールが流れる頃には、タイトルの素晴らしさより、チョルの人生の虚しさに絶望感しか覚えなかったが。
チョルが北朝鮮で貧しくとも、何も知らずに日々を過ごしていたなら、それはそれで幸せだったかも。
けれど、南の韓国社会を見てしまう。
ただ、そこはキム・ギドク監督。
韓国の魅力よりむしろ、ダークサイドを強烈に描いていて、このあたりが面白い。「目クソ、鼻クソ」みたいで。
チョルは北朝鮮に戻るが、彼は以前とは違うし、彼を取り巻くもの、すべてが違ってくる。
韓国でつらい思いをして帰ってきたのに、安堵できるはずの自国はもっと過酷という。まさに、往復ビンタ状態。
そんなこんなで、本作に限らず、キム・ギドク監督作品はどれも、人に「オススメ」とは言いづらいというのが本音。
フツーの人が見たくない現実を映し出していて、ときに恐ろしいぐらい残酷なので。
「韓国、大好き♡」という方が見ても、楽しさはまず見いだせないわよね。
見終わった後、スカッとするわけでもなく、希望の光が感じられることもない。むしろ嫌な気持ちになる(笑)。
映画に娯楽性を求めている方にはオススメできないけど、「興味がある方はぜひ見てください」という感じ。
オススメ度 ★★★☆☆
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