前回に続いて映画の話。
こちらは序盤から、いきなりソン・ガンホが登場。短いシーンなので、知らないで観てしまうと見逃される方も多いかも。
まるで『冬の小鳥』のソル・ギョングのよう。いや、それよりもっと短い(汗)。
『小さな池-1950年・ノグンリ虐殺事件-』
(原題:『小さな池』/2010年/韓国/83分)
© キノアイジャパン
5月28日(土)~6月17日(金) 新宿K’sシネマにて開催
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。
監督・脚本:イ・サンウ
出演:韓国映画好きな方、韓流ファンの方なら「あっ!」と思うような名優たちが大勢出演!
イ・デヨン、カン・シニル、キム・スンウク、チョン・ヘジン、キム・レハ、ソン・ガンホ、ムン・ソリ、パク・チア、パク・ウォンサン、ユ・ヘジン、チェ・ヨンミン、故パク・クァンジョン…他。
よーく見ていると顔が確認できる。
映画あらすじ
朝鮮戦争開戦の1950年7月。老斤里(ノグンリ)で起きた事件がもとになっている。
小学校では、世の中の動きなど何も関係ないように、全国合唱コンクールのための準備が行われていた。
いつものように縁台で涼む老人たち。
村は何もないいつも通りの平穏な日常に包まれていた。
だが、米軍が北朝鮮軍に敗れ、戦線が村の近くまで移動してきたことで、事態が急変。住民たちは取るものもとりあえず避難を始める。
米軍が保護してくれると信じる村人
7月の強い日差しのもと、米軍の指示に従って続々と南下するが、頭上からは米軍機の投下した爆弾が降り注ぐ。
間もなく機銃掃射が開始され、身を伏せる村人たち。誰もが容赦なく撃たれ、ついには防御陣地にいた兵士たちも乱射を始める。村人たちは、自分たちに銃口を向けられる理由もわからず、次々と倒れていく。
それは米軍が、避難民の中に民間人を装った敵軍が侵入したという未確認情報を入手したからだった。
米軍は敵軍の通過を阻止する目的で、避難民に向って空爆を強行するが―。
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こんな大物俳優たちを贅沢に起用するとは…と思っていたら、こちらも映画講座の先生に教えていただき、納得した。
ソン・ガンホもムン・ソリも、イ・サンウ監督が制作・演出を手がける劇団「チャイム」に所属していたそうで。この劇団「チャイム」に所属したことのある俳優さんらが多く出演されているとのこと。
それにしても、こんなひどい出来事があったことさえ知らなかった。
朝鮮戦争当時の1950年7月、老斤里(ノグンリ)で起きた事件がもとになっていて、米軍の無差別射撃によって村の住民が無残に殺害されたという恐ろしく残酷な出来事。
7月26日から29日までの間、爆撃に生き残った 300余名の生存者は軍隊の攻撃を受け、最後まで生き残ったのはわずか25名。
罪のない数百人もの村人たちがわけもわからないまま、いとも簡単に殺されていくなんて…。
この出来事は韓国とアメリカの政府によって50年間も否定され続けてきたこと。
それが1999年になって、ようやく真相が明らかにされたんだとか。
米軍から無差別射撃を受けるシーンは驚くほどリアルで、思わず目を背けたくなる映像もあった(汗)。けど事件に巻き込まれ、なんとか生き残ることのできた生存者たちが「死体を盾にし、血の水を飲みながら命をつないだ」と証言していることから、その時の状況が想像を絶するものであったことが理解できる。
上映時間は86分とやや短いけど、韓国映画界の最高のスタッフと役者が集結し、反戦と平和のメッセージを伝えている。