12年ぶりに観た韓国ミュージカル『オペラ座の怪人』
前日のチョン・ドンソクのファントムで大満足だったが、この日のファントムは…
チョ・スンウ
釜山公演に行って正解だった。
この日は前から7列目のドセン（涙）
こんな良席はソウル公演だったらまず無理だっただろう。
チョ・スンウは他のキャストと比べて突出して歌が上手いとは思わない。
けど、今のチョ・スンウにしか演じられないファントムだと感じたし、そもそも『オペラ座の怪人』観て泣いたのは初めてだった。
前日、私たちはチョン・ドンソクのファントムに満足してホテルに戻った。あの歌唱力で大好きなナンバーを聴けたし、それはもう本当に素晴らしかった。
けど、一晩たってチョ・スンウのファントムを観てしまったら、少し印象が変わった。
ドンソクのファントムは若かった。いろんな意味で。
ファントムがいた闇の世界を感じられたかというと、やや足りなかった気がする。
若くてもいいんだけど、若さゆえ、チョ・スンウのファントムほど切実ではなかったように思えた。
この点、ソウル公演から観始めた人とは違う感想になるかもしれない。
というのも、役者たちも日々、試行錯誤しながら舞台に立っているようで、キャラクターも釜山とはかなり変わったいる様子。
私が観たとき涙していたシーンも、ソウル公演では笑みを浮かべているとか。
最新情報は、韓国ミュージカルを知り尽くすRYUさんのインスタが一番役立つんじゃないか。
ドンソクのファントムも、釜山公演より今のほうがずっと良くなっているみたい。
そして釜山公演でのチョ・スンウのファントムは、、、歌に関してはそこまで期待していなかった。
他のキャストが錚々たる顔ぶれなんで、歌唱力だけ求めるなら他のキャストでも十分満足できるはず。わざわざチョ・スンウでチケットを取る必要はない。
そもそも、チョ・スンウが『オペラ座の怪人』に出るとは思ってもみなかった。
過去に「自分には歌えない楽曲」とインタビューで率直に話していたと韓国人の友だちに聞いていたから。
どんなに上手い役者さんだって音域は無限じゃない。
映画でもドラマでもミュージカルでも成功している人が無理して出演して苦労する必要はないんじゃなかとも思った。
稽古に入ってからの苦悩もインタビューで話していて、そこでも謙虚に学んだというから驚いた。
簡単に作り上げられるようなキャラクターではないし、稽古したからといって歌える楽曲でもなかったはず。
稽古場で自分が歌えていないという状況は本当に孤独で悔しかっただろうし、そうやって苦しんだすでに作り上げたファントムだから、今のチョ・スンウにできることがすべて詰まったキャラクターになっていたように思う。
孤独、苦しみ、やりきれなさ、、、チョ・スンウ自身も感じ、共感できたからこそ、そのすべてが詰まったファントムになったのではないか。
楽曲については正直、第一声を聴いて驚いた。
あそこまで声が出るとは思ってもみなかったので、想像以上の歌声を聴けたと思う。
チョ・スンウって、こんなに声も出せるのね！と衝撃だったが、これはもう血の滲むような稽古の賜物といえる。
途中、声の掠れやブレスで気になるところが何箇所かあった。前日のドンソクは卒なく歌えていた部分でもチョ・スンウだとやや苦しそうでもあった。
それでも、舞台に立つチョ・スンウの切ないファントムが観客を惹きつけ、心を掴んで放さない。ドンソクのファントムでは歌に感動しただけで涙は出なかったが、チョ・スンウのファントムは終盤で涙なしでは見られなかった。
ミュージカルって、歌唱力が何より大事と思っていたけど、演技力のほうがはるかに重要。たしかな演技力は歌唱力をもカバーする。この日、素晴らしい『オペラ座の怪人』を目にすることができて本当に幸せだった。
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釜山、万歳♡