日本でミュージカル『ミス・サイゴン』を見るのって、自分の記憶だとこれで6回目。
韓国版『ミス・サイゴン』を入れると、この作品は7回目ってことになる。…たぶん。
ミュージカル『ミス・サイゴン』
そして今回、日本版『ミス・サイゴン』で初めて泣いた。これはキャストの力が大きいと思う。
この日は昆夏美ちゃんのキム
クリスは原田君。
昆ちゃんのキム。イメージとドンピシャ。彼女で見て正解だった。
昆キムって、序盤はまさにベトナムの生娘そのもの。家族を失った彼女は大人にならざるを得なくなり、やがて母に…。
運命に翻弄されて少女から大人へと変化していく過程がとても悲しく、ベトナム戦争の渦に巻き込まれてしまった一人の女性の悲劇が、もろ浮き彫りになっていた。
韓国版のキム・ボギョン演じるキムも印象的だったけど、今回の昆キムはもっと切なかった。
その点が、知念キムとは全然違っていたかも。
なぜ知念キムが物足りなく感じられたのか。それは、彼女の変化が凡人の私にはよく分からなかったから。
序盤から終盤まで、彼女はキムという一人の女性でしかなく、その変化のなさが退屈に感じられた。
…って書くと、また知念キムのファンに怒られるかもしれないけど、体の小さな昆ちゃんが演じるキムだから可愛らしくあり、時に痛々しくも感じられ、目が離せなかったというか。
クリスへの愛も存分に感じられた。
ストーリーが分かっていることもあり、序盤でクリスと何度もキスを交わすシーンから泣きそうになった。
クリスを信じてる。
だから私を迎えに来て。
昆ちゃんのキムは切実だった。
だからこそ、再開した岡ジョンと歌う『PLEASE』で、「お願い、私をUSAに連れて行って」「どうかクリスに会わせて」と目を輝かせる場面で余計に胸が痛んだ。
そんな彼女に「クリスはアメリカでエレンと結婚してしまったんだよ」と言えなかったジョンにも共感できた。
ちなみに、一緒にいたR子さんは、彼女がタムを守ろうとトゥイを撃ったところから号泣していた。
昆ちゃんのキムだから、一つ一つの行動に説得力が感じられ、そういう人生を選択せざるを得なかった状況に泣けてきたのかも。
原田クリスもよかった。
歌も上手かったけど、感情的になる部分もすごくよかった。
そもそもクリスもまた“だめんず”よね。
あれだけキムとラブラブでチュッチュしていたのに、結局は彼女を守ることができなかった。
それどころかアメリカでエレンと結婚w
最後はタムに援助しよう…なんて。
状況が状況なだけに、仕方がないんだろうけど。
何も感じなかった上野クリスより、原田君からは戦争に巻き込まれたアメリカ人青年の良い面も悪い面もヒシヒシと伝わってきた。人間の弱さみたいなものも見せてくれた気がする。
筧エンジニアは面白かった(笑)。
歌わないでセリフにしてもらったほうが面白かったかも。
もっとアドリブを入れたそうな感じだったけど、そうすると別モノの作品になっちゃう?
全体的には駒田さんのほうがドカンドカンと会場を笑わせていた。駒田さんのほうがすっとぼけた感じがするからかしら。
木村エレンは大人だった。
三森千愛ちゃんのエレンとはまた違ったエレン。
衣装も千愛ちゃんと違うのね~。木村エレンの衣装のほうがいいと思った。
岡ジョンは前回と同じなので今回は割愛。
で、よかったのが神田トゥイ。
二度見た泉見トゥイより神田トゥイのほうがなぜかよかった。この人もかわいそう。今回はそんなふうに強く思った。
この物語って、キムとクリスの悲劇だけじゃないのねー。
もちろん残された子供たちもなんだけど、エレンやトゥイだって苦しんでいる…。
エンジニアも叶わぬアメリカンドリームを夢見る姿が悲しいし。
昆ちゃんのキムを見ながら、周囲の登場人物にもそんな思いをより強くした。
そして、最強だったのがちせタム♡
可愛すぎ~。
昆ちゃんが小柄なので、タムも一番小さなちせ君がペアになるそうで。昆ちゃんとちせタムは今回のキャストの中で最強の親子かも。
ジジは今季3回とも池谷ジジだったけど特に印象に残らず…。
ロンドン版のジジがすごいそうで、のっけからガツーンとくるみたいだけど、そういうジジって、私は今まで見たことない。残念ながら、韓国版のジジも覚えていない。
帝国劇場は今月26日(火)まで
本物のヘリが登場するのは帝劇のみ。
迫力あるシーンだけど、クリスがヘリに乗り込むシーンがよりリアルになった分、二人が大きな力によって引き離されたように感じられる。
横須賀公演だと本物のヘリは見られないというので、帝劇でもう一度見ておきたい気も…。
また、この方のエンジニアも見たくなった♪
さて…。帝劇か横須賀で笹本キムを見るかどうか。悩むところ。
もう一度、昆ちゃんのキムも見たいし、もっと欲を言えばロンドンで頑張っているホン・グァンホのトゥイも見たい!
言い出したらキリがないw