すでに日本で公開されている。
韓国映画『オフィス 檻の中の群狼』。
映画ほどでないにしても韓国でなら実際に起こり得る話かも…と思えてならない。
『オフィス 檻の中の群狼』
(2015年/韓国/111分)
写真:『オフィス』ポスター
2016年7月29日(金)~新宿シネマカリテ「カリコレ」にて限定公開。8月13日(土)~シネマスコーレにて上映
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください!
映画あらすじ
写真素材がないので、ストーリーはザックリと。
ある日、真面目なキム課長(ペ・ソンウ)は帰宅後、家族を惨殺して姿をくらます。
刑事チョンフン(パク・ソンウン)は、キム課長の勤務先で聞き込み捜査をするが、誰も多くを語ろうとはしない。インターンのミレ(コ・アソン)も何かを隠している様子。
警察でキム課長の足取りがつかめない中、社内の同僚たちは奇妙な出来事に怯え、不安を募らせる。
そして次々と新たな事件に巻き込まれていくのだった―。
*****
見ているときから、コレって裏『ミセン-未生-』だなと思った。
シワン主演の『ミセン-未生-』はドラマだったから、一応、希望を感じさせるような内容だったが、私たちも年齢を重ねるにつれて、「世の中、そんなに甘くない」ってことを知っている。
どちらかといえば、本作のほうがよほどリアルというか…。
実際にこんな事件は起こらないにしても、職場での孤独やストレス、プレッシャーなんかは、いかにも韓国社会にありがちで、『ミセン-未生-』の裏側を見たような暗澹たる気持ちになった。
ドラマ『ミセン-未生-』と違い、こちらではもっと深い闇が描かれ、そこに救いようなものは感じられない。
光州から出てきてインターンとして働いているミレ。
方言を出さないよう話すのは、「ソウルで働くため」と彼女は言う。
住んでいる部屋は会社から遠く、長時間かけての通勤。
「だってソウル市内は家賃が高いから」。
一方、新しく入ってきたインターンのダミは海外留学を終えて帰国したばかりの美人。
ソウル市内の蚕室に実家があるのに、「遠いから」と会社のそばに部屋を借りている。
いつまでも正社員になれずインターンのままのミレは、どんなに仕事を頑張っても、最初から条件の違うダミにはかなわない。
優秀なダミは面倒な課題もチャチャッと片付け、不器用なミレは朝早く出勤して夜遅くまで仕事しても、課題を終えることができない。
殺人事件を起こしたキム課長も、まさにミレのようなタイプ。
小さい頃から学校や塾という競争社会にいて、なんとか大学受験をクリアして、ソウルで就職できたとしても、そこに幸せな人生が待っているとは限らない。
むしろ正社員になれば今度はノルマに縛られ、プレッシャーを感じながら日々を過ごすことに。
一体どこまで頑張れば幸せになれるのか。穏やかな日々がやってくるのか。
それは、まるで終わりのないゴールを目指しているみたい。
これまで出会った韓国人女子たちの話なんかも思い出され、あながち、まったくのフィクションとも思えなかった。
もし自分だったら…。
誰かと競うのは苦手なので、だったら最初から最後まで負け組でいるほうが楽チンのような気もする。
オススメ度 ★★★☆☆
ミセン -未生- DVD-BOX1 こちらではさすがに殺人事件は起こらない。 |