韓国映画

韓国映画『ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~』

投稿日:2016年8月2日   

 

こちらも先週から日本で公開されている。

 
『ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~』
 (2015年/韓国/124分)
ヒマラヤmain
©2015 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

7月30日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿ほか全国順次ロードショー

詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。

 
韓国初の本格的な登山映画だそうで。
これまでいろいろな韓国映画を観てきたけれど、スタッフと役者が文字通り“命がけ”で作り上げた作品になったのでは。

主演ファン・ジョンミンは、3日かけて登らないと到着しない撮影現場に向かいながら、「自然の前では人間がどれほど小さな存在なのかを感じた」とインタビューに答えている。

 



 

映画あらすじ

登山家オム・ホンギル(ファン・ジョンミン)は、新人のムテク(チョンウ)らとカンチェジュンガの登頂に成功する。

 
だが、ヒマラヤ完全登頂を目前に足の故障で現役引退を決意
ヒマラヤsub1

 
ムテクは「自分が兄貴の足になる」と止めるが―
ヒマラヤsub3
ホンギルは「お前の時代が来たんだ」と愛用のピッケルをムテクに託す。

 
数年後、悲劇が起きた―。
エベレスト登頂に挑んだムテクらが天候悪化で遭難したのだ。

もはや生存は絶望視され、彼らの葬儀が開かれたが、遺体はまだ見つかっていない。

 
そこでホンギルは再び仲間を集め、危険な登頂を決意
ヒマラヤsub6
それは遭難したムテクたちの遺体を回収するためだった。

 
危険なデスゾーンに向かうホンギル
ヒマラヤsub2
「今回の遠征目的は登頂ではない。よって、いかなる名誉も見返りも望めない」

ホンギル率いる遠征隊は決死の捜索で、ムテクたちを家族の元へと帰すことができるのだろうか―。

 
*****
今回、思い知らされたのは、人生は二者択一の連続ってこと。
けれど、ここ雪山では一刻の猶予もない。
ときには仲間を見殺しにしなければならない。そんなことが自分にできるだろうか。

例えば、崖から転落し宙吊りになった仲間と自分を1本のザイルがつないでいたら、どうするのか。
迷っていれば、重みに耐えきれず、自分もまた奈落の底へと落ちていく。

だったら、仲間の体をつないでいるザイルを切れるだろうか。
本作はそうした過酷な選択の繰り返し。

私みたいな凡人の二者択一は「ランチを和食にするか洋食にするか」程度のものだけど、本作のキャストたちは常に命がけで選択をし、正解なんて誰にも分からない。

実際は「その選択がどれほど残酷でも、どちらかが必ず生きて帰り、そのときの状況を報告する」ために、ザイルを結ぶ際はナイフを首からぶら下げるという。

じゃあ、パートナーが宙吊りになっているのに、基本通りにザイルを切れるのか。

たぶん私にはできないと思う。そうするだけの決断力も行動力も勇気もないから。

「山に登るか登らないか」から始まり、前に進むのかここにとどまるのかを瞬時に選んでいく。

悪天候の中、行方不明になった友を探しに行くか行かないか。
これも苦渋の選択。
行けば自殺行為。行かなければ冷酷だと非難される。

ただ、後退することもまた、強い心なしではできない決断だと本作を見ながら感じた。

 
終盤も感動的だったけど、私は中盤の大学での講義シーンから泣いてしまった。

名もない登山者のことを熱く語るホンギル。
歴史にその名が残らなくとも、自分が記憶し、胸に残す。
その姿に泣けた。

 
資料を読むと、この作品の大きな核となっている遺体回収については、そもそも「遺体」のとらえ方がアジアと欧米とは根本的に異なっているそう。

実際、エベレストでは今も多くの遺体が石のように転がり、石のように凍てついたまま留め置かれているんだとか。
欧米では「遺体」は「モノ」であり、自らの命を賭してまで回収に行くことはあり得ないんだそうで。

でも私たちは違う。
動かなくとも「遺体」は「モノ」ではなく、「ヒト」よね。
この点、彼を連れ戻したいという思いは韓国人でなくとも共感でき、そこで隊員たちが下す決断に胸が痛む。

 
オススメ度 ★★★★☆

覚悟を決めて退路を断ち、当選した新都知事はこういう遠征隊のリーダーにも向いている気がした。

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