韓国で497万人もの観客を動員した『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナスと呼ばれた男』が日本でも公開される。
このフィクションのような話が実話を基にしているというから驚きよね。
『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』
(原題:『工作』/2018年/韓国/137分)
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2019年7月19日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。
映画あらすじ
1992年―。
将校だったパク・ソギョン(ファン・ジョンミン)は国家安全企画部のチェ室長(チョ・ジヌン)から“黒金星(ブラック・ヴィーナス)”というコードネームを与えられる。
そして韓国のスパイとして北朝鮮に潜入し、核開発の実態を探ることに。
1995年―。
パクは事業家に成りすまし、北京に駐在している北の実力者リ所長(イ・ソンミン)に接近するよう命じられる。
北の重要人物であるリ所長との接触
次の会合ではリ所長の傍らに高圧的な態度のチョン課長(チュ・ジフン)の姿もあったが、パクとリ所長は距離を縮めていく。
やがてパクは平壌入りし、金正日との面会も果たす。
北での事業を隠れ蓑に核の実態調査を着々と進めるパク。
ところが1997年の大統領選で野党候補の金大中が国民の支持を集める。
これにより状況は一変
現政権と北朝鮮の間の裏取引で、パクは自分の命がけの工作活動が無になろうとしていることを知る。激しく苦悩するパクは―。
*****
試写会終了後、私はすぐさま会場を飛び出し、宣伝担当の男性を探した。
普段はダラダラと試写会場を後にするくせに、この日ばかりはいつになく俊敏な動きを見せた。
「Sさん!」私は彼をつかまえた。
Sさんからは「映画、どうでした?」と聞かれたが、そんなことはどうでもよかった。
「あの金正日役の俳優は一体なんなの? 実物と似すぎていて思わず息を飲んじゃったわよ」と、本作に登場する金正日のソックリぶりについて聞いてみた。
Sさんは内心「そこかよっ!?」と思ったに違いないが、そこは大人なので「あぁ、あれはハリウッド式のメイクで似せたんですよ」とボソッと教えてくれた。
あとで調べたら金正日役はドラマや映画でおなじみの俳優キ・ジュボンだった。金正日とは似ても似つかない。
メイクであんなにクリソツになるなんて。
この話が実話に基づいているのもビックリだけど、メイクの技術も衝撃的だった。
今さらだけど、韓国には選挙時に北朝鮮が事件を起こすと国民世論の風向きが大きく変わる傾向にある。
これを“北風”と呼ぶけど、今になって90年代の大統領選で吹いた北風の真相が明らかにされることもあり、本作も大ヒット。昨年8月に韓国で公開され、497万人を動員している。
同時期に『神と共に 第二章:因と縁』が公開されていなかったら、観客動員数も軽く500万人を突破してたかも?
いずれにしても、ここで描かれている真相が事実なのかどうかは分からない。北朝鮮が明らかにしたわけでもないし、現政権は親北派だし。
政権が変わればまた違った真相が飛び出すのでは?と思わなくもない。
しかも実在するブラック・ヴィーナスは国の命令で命がけの任務を遂行していたのに、結局はその国によって逮捕されるという。
この悲惨さが一番の衝撃。
オススメ度 ★★☆☆☆
金正日の料理人 (扶桑社文庫) 金正日のメイクについてはこの人の感想を聞いてみたい。 |