いい意味で、自分の想像を大きく裏切ってくれた作品。
『アトリエの春、昼下がりの裸婦』。
派手な演出はなく、とにかく“美しい”の一言に尽きる。
その映像美は、キム・ギドク監督の『春夏秋冬、そして春』を見たときと同じぐらいの衝撃だった。
海外の国際映画祭で高く評価されたのも納得。
ストーリー的にはDVDで見てもいい作品かもしれないけど、映像の素晴らしさを考えると、ぜひスクリーンで見たいもの。
『アトリエの春、昼下がりの裸婦』
(原題:『春』 2014年/韓国/102分)
©2014 STUDIO HOOK, All Rights Reserved.
2016年1月30日(土)より、シネマート新宿、シネマート心斎橋にてロードショー
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。
映画あらすじ
ベトナム戦争が韓国に暗い影を落としていた1969年―。
全身の麻痺が進むという難病を抱えた彫刻家ジュング(パク・ヨンウ)
彼は美しい湖畔の田舎町・浦項で療養していた。
創作を断念し、生きる希望さえも失った夫を見かねた妻(キム・ソヒョン)
妻は、素朴な町娘ミンギョン(イ・ユヨン)にモデルを依頼
それは夫の創作意欲を取り戻すためだった。
ヌードになることで戸惑っていたミンギョンも、悲惨な事情から受け入れることに―
湖畔のアトリエで創作を再開したジュング
ミンギョンも日常の辛さから解放され、明るさを取り戻す
やがて二人は彫刻家とモデルという関係を超え、深い絆で結ばれていくが―
二人に訪れた“人生の春”は美しくありながら、あまりにも儚かった―。
*****
いただいた資料に「珠玉の文芸エロス」とか書かれているけど、この作品を見て「エロい」とは思わなかった。
イ・ユヨンがフルヌードとなり、ヘアまで見せているので、タイトルからして彫刻家と裸のモデルのラブシーンを想像していたけど、そんなありがちなストーリーに展開することなく、静かな余韻を残してくれる。
タイトルやあらすじからして、ドロドロの不倫に発展し、激しい濡れ場があるものと思いませんか?
そんな想像をしながら劇場に足を運ぶと、目に飛び込んでくる美しい映像と、切ない結末に驚かされると思う。
気になったのがミンギョンのワキ毛。
ジュングの妻が「モデルとしてのたしなみだから」と、ミンギョンのワキの毛を剃るシーンがある。
今の時代、レーザー脱毛でワキ毛なんかも簡単に消滅できるけど、物語は1969年という設定。
まだ若い女の人もワキ毛を生やしていたのかなーと思ったり、下の毛は剃らなくていいんだろうかと、少し疑問を感じた。
結末については賛否両論だったみたい。
印象的だったし、冒頭のシーンが伏線になっているという演出も私は好きだった。
フルヌードになったイ・ユニョンが賞賛を浴びたけど…。
妻役のキム・ソヒョンもよかった!
夫のことを気遣いながらも、アトリエには入ろうとしない妻。
妻の目線で本作を見ると、終盤で泣けてくる。
2AMのイム・スロンや女優ハン・ヘジンなど、名もない役で友情出演している。
『メモリーズ 追憶の剣』のペ・スビンも登場。
チョ・グニョン監督の前作に出演していたからね。
オススメ度 ★★★★☆
妻の誘惑 DVD-BOX 1 なぜかドロドロの不倫愛憎劇が似合ってしまうキム・ソヒョン(笑) |