コン・ユとパク・ボゴムが共演した『SEOBOK/ソボク』も来週から日本で公開される。
『SEOBOK/ソボク』
(原題:『徐福 / ソボク』/2021年/韓国/114分)
©2020 CJ ENM CORPORATION, STUDIO101 ALL RIGHTS RESERVED
2021年7月16日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。
映画あらすじ
かつて国家情報局で働いていたギホン(コン・ユ)
脳腫瘍を患い、余命宣告を受けていた。そんなギホンの前に元上司が現れる。
情報局にいた当時の上司アン部長(チョ・ウジン)
国家機密に関わる任務をギホンに強制する。
それは幹細胞複製と遺伝子操作で作られた人類初のクローン人間をテロから守り、研究所からシェルターまで護送するというもの。
ギホンは研究所へ
初めてクローン人間“ソボク”(パク・ボゴム)を目にする
見た目は普通の少年にしか見えないソボクだが、彼の体内で作られるiPS細胞ですべての疾患を治療できるため、人類が死を免れる唯一の技術とされている。
自らの病の治療と引き換えにソボクの護送を決めるギホン
一方でソボクの副作用を目の当たりにする
ソボクは副作用として、周囲の圧力を調整する能力も持っていた。
護送早々に襲撃を受けるギホンとソボク
ギホンはソボクと一緒に逃げる羽目に。
ところがソボクは初めて見る世界に釘付け
そんなソボクに苛立ちを隠せないギホンだったが―。
ソボクの研究所での日々を知り、次第に同情
互いを思いやる気持ちが芽生えていく
やがてアン部長はギホンにソボクの殺害を命じるが、ギホンはこれを無視。情報局だけでなく、闇の組織からも追われるソボクのため、ギホンは研究所に戻ろうとするが―。
“徐福(ソボク)”とは、秦の時代、始皇帝の命を受けて不老不死の霊草を探すため東方に旅立った臣下の名前。
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韓国でクローン技術といえば、2005年に発覚したファン・ウソク教授のES細胞捏造事件。
捏造が発覚した発端は、実験に必要な卵子の入手方法。これが倫理的でないという疑念が広まり、卵子の売買が発覚したという。
まさにドンピシャのタイミングで舞台『解体青茶婆(かいたいあおちゃばば)』を見た。
蘭方医の杉田玄白らによる「解体新書」は皆、学校で習って知っている。
けど、その「解体新書」がどのようにして作られたか詳しく知る人は少ないはず。
単にオランダ語の解剖書を翻訳するだけでなく、実際に遺体の解剖を観察し、人体の内部を知る必要があった。そうして初めてオランダの解剖書の正確さを知ったという。
現代のファン教授が研究用に卵子を必要としていたように、江戸時代の杉田玄白たちもまた遺体を調達する必要があった。
解剖は死刑囚の遺体で行われ、舞台『解体青茶婆』はそのあたりのエピソードや人々の思い、また被差別階級の人が担った役割なんかも描かれている。
(『解体青茶婆』の東京公演は今月11日(日)まで。詳しくは公式HP参照)
いつの時代もこういう研究が重ねられていることをあらためて実感したのと同時に、こうした努力の延長線上に例えば『JIN-仁-』で描かれていた人たちの生活があったり、山中教授のiPS細胞開発やノーベル賞の受賞があったのかなーとも感じた。
話は戻って韓国のクローンね。
ファン教授の捏造が発覚する前、韓国は本当に湧いていた。クローン技術の開発は医療ビジネスを大きく変えるから。
結局は捏造ってことになっちゃったけど、ファン教授の犬のクローンだけは事実だったみたいで、教授は今も犬のクローン技術をビジネスにしている。
本作『SEOBOK/ソボク』は今年の4月中旬に韓国で公開されたものの、観客動員数は38万人止まり。
コロナ禍で、なおかつ動画配信サービスで同時公開されたとはいえ、6月に公開されたチョ・ウジン主演の映画『発信制限』の半分にも満たない数字なので、ちょっと残念な結果に終わってる。
そうやって見ると前回の『サムジンカンパニー1995』の157万人はかなり善戦したのね。
で、『SEOBOK/ソボク』はたぶん風呂敷を広げすぎた感が満載w
終盤、あの悲惨だった『リアル』臭も感じられ、どこかターミネーター2 (字幕版)的な要素もあったりと、監督がどこに向かっているのか分からなくなった。
ソボクとアン部長の対決は完全に置いていかれたわ。ギホン役のコン・ユもねw
監督にはぜひ『建築学概論』の路線に戻ってほしい。
オススメ度 ★★☆☆☆
建築学概論(字幕版) コチラはイ・ヨンジュ監督の名作中の名作。 |