韓国映画

韓国映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』

投稿日:2017年8月25日   

 

今月、新幹線に乗って名古屋に行ったんだけど、この映画を見てからの新幹線はちょっとした恐怖を味わうことに(汗)。

それは密室だから―。
車両で何が起きようと、逃げ道のない空間。
もし予想だにしない出来事が起き、隣の車両から大勢の乗客が逃げてきたら―。
なんて想像するだけでゾッとし、本作を見たあとの新幹線はかなりスリリングな乗り物と化すことになる。

今年見た韓国映画の中でダントツに面白かった『新感染 ファイナル・エクスプレス』
去年見た韓国映画を含めても、この満足度は『インサイダーズ/内部者たち』以来だと思う。

韓国での観客動員数は1100万人超!
原題は『釜山行き』。最初に邦題を知ったとき、「へんなタイトル!」と思ったけど、映画が面白かったのでそんなことはどうでもよくなった。

 
『新感染 ファイナル・エクスプレス』
 (原題:『釜山行き』/2016年/韓国/118分)
映画 釜山行き 新感染 コン・ユ
© 2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved.

2017年9月1日(金)より新宿ピカデリーほか全国疾走!

詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。

 


 

映画あらすじ

【ソウル駅】
夜明け前のソウル駅。釜山行きの特急列車KTXに証券会社のファンドマネージャー、ソグ(コン・ユ)と娘スアン(キム・スアン)が乗り込んだ。
夫婦関係が破綻し、今は釜山で暮らす妻のもとへスアンを送り届けるためだった。

 
発車直前、KTXに挙動不審な女が乗り込んだ―
映画 新感染 釜山行き コン・ユ
何者かに足を噛まれ、人間を凶暴化させる謎のウイルスに感染していた女はやがて車内で発作を起こす。

 
そして女性乗務員を襲撃
映画 新感染 釜山行き コン・ユ
噛みつかれた乗務員もウイルスに侵されて豹変。

 
その場にいた乗客たちも次々と犠牲になってしまう―
映画 新感染 釜山行き コン・ユ
突然勃発した凄まじいパニックの中、異変に気づいたソグはスアンを抱きかかえて逃げる。その横では屈強な男サンファ(マ・ドンソク)が妊娠中の妻ソンギョン(チョン・ユミ)を守りながら後方の車両へと避難するのだった。

このときソグは、感染者が自力ではドアを開けられず、目視で捉えた人間を反射的に攻撃する習性に気づく。

 
【天安駅】
KTXが天安駅を通過した頃、車内のテレビでは政府による緊急会見の模様を報じていた。
だが“安全”を強調する政府の発表とは対照的に、ネット上では各地で大量発生している感染者たちの動画が流れていた。悪夢のような現実に乗客たちが打ちのめされる中、車内アナウンスが流れた―。

 
【大田駅】
「この列車は大田駅止まりとなります。軍が車内を鎮圧しますので、到着後に全員下車してください」
大田駅に着くと乗客たちは無人のホームに降り、出口へと向かうが、治安部隊の兵士たちはすでにウイルスに蝕まれていた。

 
ここで多くの乗客が餌食となってしまう
映画 新感染 釜山行き コン・ユ
再び走り出したKTXに飛び乗ったソグとサンファ。
彼らは、離ればなれになってしまったスアンとソンギョンが4車両先のトイレで孤立していることを知る。

 
同じく恋人ジニ(アン・ソヒ)と離れてしまった野球部員の高校生ヨングク(チェ・ウシク)
映画 新感染 釜山行き コン・ユ チェ・ウシク

 
ヨングクも加わり、3人で車両移動することを決意する
映画 新感染 釜山行き コン・ユ
感染者たちの新たな習性を発見した3人は、なんとかスアンらの救出に成功するのだった。

 
【東大邱駅】
続いてソグたちは女子高生ジニがいる車両へと向かう
映画 新感染 釜山行き コン・ユ
ところが、その車両はエゴをむき出しにしたバス会社の常務ヨンソク(キム・ウィソン)に支配されていた。
ヨンソクに扇動された乗客たちから、感染の疑いをかけられたソグたちは行き場を失い、絶体絶命の状況に陥ってしまう。

 
ノンストップで疾走を続けるKTX
映画 新感染 釜山行き コン・ユ
今なお治安が維持されている終点の釜山へと向かうが―。

 
*****
いい意味で予想を裏切られた作品。
ただのゾンビ映画と思ったら、ゾンビよりも“人間”のほうがはるかに深く描かれていた。

スリル満載なのはもちろんで、あっという間の118分。
今年見た韓国映画の中ではダントツの面白さ。

ただし、手に汗を握る緊張感はおそらくスクリーンでないと魅力半減かも。このスピード感と恐怖はスクリーンでしか味わえない。

そもそも走行中のKTXの中で次々と乗客が謎のウイルスに感染していく…って、相当な恐怖と思う。
まさに“走る密室”。そこで発生したパニックの凄まじさは、もしフィクションじゃなかったら気が触れる人がいてもおかしくない状況ー。

途中、目を見張ったのが人間の浅ましさだった。
自分だけが生き残ればいい。ほかの人間が死んでも構わない。
そんな一部の身勝手な人間のせいで善良な人が犠牲になるシーンは思わず目を覆いたくなる。

コン・ユ演じるソグもそんな人間だった。
彼はファンドマネージャーだけれど、そもそも個人投資家を儲けさせようなんて思っていない。
儲かるのは自分たちと一部の特権階級の人間だけでいいのだから。
ごく一部の人だけが恩恵を受けられる社会においては、大多数の人間が犠牲になる仕組み。皮肉だけれど、ゾンビ新幹線によってそれを思い知らされる。

ゾンビが増殖する車内で、彼は自分と娘のスアンが生き残ることだけを考えた。唯一幸いだったのは、娘が彼とは対照的に人を思いやれる子供に育っていたこと。
こんな過酷な状況の中で、ソグとスアンの関係が確実に変化していくあたりはかなり涙腺を刺激する。

政府がこの期に及んで嘘っぱちの情報を垂れ流しているのはいかにも韓国らしい。正しい情報がないから犠牲者の数だけが増えていく。

釜山だけ治安が維持されているというのも不思議な状況だけど、これがフィクション。
散々ドキドキして最後は胸が熱くなったのだから、映画としてはこれでOK!
もう一度見ても、同じぐらい…、もしくはそれ以上楽しめる作品だと思う。

オススメ度 ★★★★★

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