まさかこんなに面白いとは思わなかった。
最初から最後まであまりにも面白かったから原作小説も買っちゃったよ。
曽根圭介の小説が原作の『藁にもすがる獣たち』。来週末から日本でも公開される。
『藁にもすがる獣たち』
(2020年/韓国/109分)
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2021年2月19日(金)よりシネマート新宿ほか全国ロードショー
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。
映画あらすじ
【第1章:借金】
チムジルバンで働くジュンマン(ペ・ソンウ)
チムジルバンのロッカーに入れられたLOUIS VUITTONのバッグ。中には大金が入っていた。
ジュンマンが清掃中にテレビからは3つのニュースが流れている。
元々は刺身店を経営していたジュンマンだが、店は潰れ、生活は厳しい。だからチムジルバンで働いている。
妻のヨンソン(チン・ギョン)が清掃員として働いているのは平沢(ピョンテク)港。そこでは、出入国審査官の男が外国人の出入国に目を光らせていた。
出入国審査官のカン・テヨン(チョン・ウソン)
ダメ男っぷりが際立つが―
実は恋人が残していった借金で頭を抱えていた。
【第2章:カモ】
詐欺師のオ・ドンパルから金を奪おうと考えていたテヨンだったが、チンピラのデメキンが彼に言う。
「大金を手に入れたヤツは他人を信じない」
本当にそのとおりだった。
一方、その詐欺師のオ・ドンパルを探す刑事ユ・ミョング(ユン・ジェムン)がテヨンにつきまとう。この刑事もまた胡散臭い。
【第3章:食物連鎖】
大金を欲しがるのは男たちばかりではない。ここにも金に困っている人間がいた。
株式投資に失敗したミラン(シン・ヒョンビン)
おまけに夫からは暴行を受け、悲惨な毎日だった。一縷の望みといえば、不法滞在者のジンテ(チョン・ガラム)だけ。
【第4章:サメ】
ミランを救おうと手を差しのべる女がいた。
チェ・ヨンヒ(チョン・ドヨン)
彼女はミランに説明する。
“シロワニ”ってサメがいて、50個ほどの卵を胎内で育てる。
恐ろしいことに生き残りを懸け、胎内で共食いするの。1匹だけが生き残って最強の捕食者となる。
何が言いたいのかと思いきや、韓国では事故死体の4%しか解剖しないってこと。
ミランの夫の死亡保険金は5千万円だ。
ヨンヒはミランにこう告げる。
「大金を手にしたら誰も信じちゃダメ」
【第5章:ラッキーストライク】
テヨンの家に帰ってくるチェ・ヨンヒ。この女のせいで借金苦に陥ったのだ。憎んでも憎みきれないはずなのに、そこはダメ男のテヨン。ヨンヒを抱きしめてしまう。
ラッキーストライクを吸うテヨン。ラッキーな結末になると信じて疑わない。
【第6章:札束のバッグ】
一方、ジュンマンはどうしていいか分からずにいた。
認知症の母親(ユン・ヨジョン)が言う
「朝鮮戦争の時は国じゅうがこうだった。生きてさえいれば何とかなるものよ。五体満足ならいくらでもやり直せる」
途方に暮れるジュンマン。
誰もが地獄から抜け出したいと願ってる。獣のようだと言われても構わない。藁にもすがりたい思いでいるのだ。
果たして最後に笑うのは誰!?
*****
この映画って、出てくる女がいちいちたくましい(笑)。
たしか『梨泰院クラス』にも映画のタイトルが登場していた。それなのに韓国での興行がふるわなかった理由はやはりただ一つ。
韓国では去年2月19日に公開。その翌日、韓国当局が大邱の宗教団体でクラスター感染が起きていると発表。韓国は大騒ぎとなった。
つまり、新型コロナウイルスが爆発的に感染拡大するのとほぼ同時に公開されたことになる。
おかげで観客動員数は63万人止まり。何もなけりゃ300万人は軽く超えただろうに。
内容が面白く、キャストも素晴らしいだけに、もっとも不幸なパターンの公開だった。
小説も読んだけれど、終盤のストーリーの回収の仕方は映画のほうがはるかに面白かった。最高の叙述トリックに仕上がってる。
特にタバコ“ラッキーストライク”のくだりは笑えた。
「俺を守ってくれるのは神でもご先祖様でもなく、これなんだ」
そんなわけないだろ!
オススメ度 ★★★★☆
藁にもすがる獣たち (講談社文庫) 原作です。 |