韓国ではヒットしなかったようだけど、私はこの映画『愛を歌う花』がわりと好きだった。
韓国では昨年春に公開されていて、見てみると同時期に大ヒットに結びついた韓国映画は特にないのよね。
総選挙のあった月だけど、それが大きく影響したとは思えず、むしろ映画好きの若い世代は、ドラマ『太陽の末裔』でお腹いっぱいだったのかも。
『愛を歌う花』
(原題:『解語花』/2016年/韓国/120分)
©2016 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.
1月7日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。
映画あらすじ
1943年、京城唯一の妓生養成学校―。
ずば抜けた美貌と優れた歌唱力で最高の歌姫と称されるソユル(ハン・ヒョジュ)と、天性の歌声を持つヨニ(チョン・ウヒ)は幼馴染の親友同士だった。
ソユルは作曲家ユヌ(ユ・ヨンソク)と結婚を誓い―
ユヌが民衆の心を癒やすために作曲した「朝鮮の心」という曲を歌いたいと願う。だがユヌは、いつしかヨニの歌声に魅了される。
歌手になることを夢見ていたソユルに嫉妬心が芽生え―
やがて3人の運命が狂い始めていく。
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原題の「解語花(ヘオファ)」という言葉は、時代劇にはよく出てくる。
言葉を解する花のことで、妓生をたとえて使われる言葉。
これは、学問や芸術への理解をも意味してる。
本作に“券番”という言葉が出てくるが、妓生を養成する妓生学校の総称で、今でいう芸能事務所のようなもの。
妓生はここに所属し、礼儀作法から書画、楽器、歌と踊りを身につけていったそう。
この時代、妓生出身の歌手が次々とデビューしたといい、そうした夢見る妓生の姿をハン・ヒョジュが演じている。
この映画って、女性の多くはハン・ヒョジュ演じるソユルに共感できるのでは…と、私は思った。
彼女は子供の頃からヨニに与える立場だった。大人になってからも二人の関係性は変わらず、彼女は美しくて知名度も抜群。イケメンのカレ氏もいて、恵まれた立場にある。
ところが、ヨニとの関係が次第に逆転していくわけで…。
それは仕方がないんだけど、ヨニに与えていたはずが、気づけば奪われているという。
やがてソユルのほうがヨニを羨むように…。
けど、その気持ちは“羨望”ではなく、“嫉妬”へと変わっていくのよね。
私は100%、ソユルに共感し、ヨニが憎たらしかった(笑)。
ただ、それは私が最初からソユル目線で本作を見ていたからそう感じたのであって、もし序盤からヨニ目線で見ていたらまた全然違った印象になるのかも。
ソユルとヨニが憧れる歌手イ・ナニョン役は、ミュージカルでおなじみのチャ・ジヨン。
ミュージカルのような歌い方ではないけど、さすがの歌唱力♪
このイ・ナニョン役は、当時絶大な人気を誇った実在の歌手イ・ナヨンのことだった。
序盤でソユル(ハン・ヒョジュ)がヨニにプレゼントしたのはまさにイ・ナヨンの「春のお嬢さん」というレコード。
劇中では、ソユルとヨニがこの「春のお嬢さん」をデュエットするシーンも。
これ、見どころの一つと思う。可愛らしくて、楽しいシーンなので。
二人が幸せだった、最後の瞬間ともいえる。
だから思い返すと、とても悲しいシーンともいえるかも。
できれば、ハン・ヒョジュと、警務局長役パク・ソンウンの日本語のセリフは字幕を入れてほしかった。
やや聞き取りづらかったので。
そこは役者さんのプライドがあるかもしれないけど、観客の利益を優先してほしかったw
オススメ度 ★★★☆☆
オールド・ボーイ (字幕版) あれから13年―、初めてユ・ヨンソクを見たのはこの作品。 |
ユ・ヨンソクは素晴らしい俳優に成長し、一方で、自分も13歳も年を取ったという衝撃の事実。おそろしや~(汗)。