今年、韓国で1,340万人もの観客を動員した大ヒット作がついに日本でも公開される。
面白いだけでなく、腹も立ったし、虚しくもなった。けど最後は痛快な気分に♪
韓国に興味がなくとも、映画が好きでなくとも、たぶん思いきり楽しめちゃう作品。終盤のぶっ飛んだシーンは、ぜひ大きなスクリーンで!
『ベテラン』
(2015年/韓国/123分)
(c)2015 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved
2015年12月12日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー!
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。
先に別媒体でUPしちゃったけど、こちらにも簡単にあらすじを。
映画あらすじ
熱血刑事ドチョル(ファン・ジョンミン)
無鉄砲だけど信念を持っている。
所属はソウル警視庁の広域捜査隊
左から、肉体派のワン(オ・デファン)に、何かと愚痴っぽいオ・チーム長(オ・ダルス)、紅一点のミス・ボン(チャン・ユンジュ)、末っ子のイケメン刑事ユン(キム・シフ)と、個性派ぞろい(笑)。
ある日、ドチョルはシンジン・グループの御曹司を紹介される。
その名はチョ・テオ(ユ・アイン)
テオは悪名高き問題児で、その言動も常軌を逸している。ドチョルはテオに「罪を犯すなよ」と忠告した。
それから間もなくして事件が起きた―
ドチョルが世話になったトラック運転手ペが、シンジン物産で飛び降り自殺を図ったという。
ところが、ペと一緒にいた幼い息子は脅えながらも「パパは殴られた」証言。
しかも、ペが招き入れられた時間帯の防犯カメラがなぜか録画停止中だったと聞き、ドチョルは不審を抱く。
事件にテオが絡んでいると直感したドチョルは単独捜査を開始
一方、テオの腹心であるチェ常務(ユ・ヘジン)は入念な揉み消し工作を行っていた。
財閥の威光を笠に着たテオとチェ常務の手口はあまりにも卑劣でドチョルは苦境に追い込まれるが…。
広域捜査隊の面々は孤立無援のドチョルを見捨てなかった―
再びドチョルは、巨悪との闘いに身を投じていく。
*****
財閥が起こしたいろいろな事件が思い出された。
記憶に新しいのが「ナッツ・リターン事件」。大韓航空の女性副社長が、搭乗していた航空機でのナッツの出し方に激怒。
航空機を搭乗口まで引き返させ、チーフパーサーを飛行機から降ろしてしまうという前代未聞の事件。
ただ、これまでに財閥が起こした不祥事は多数あり、それと比べると、まだカワイイほうかも。
特に本作を観ていると、2010年にSKグループの創業者の甥が起こした暴行事件が思い出される。
SKの本社前で雇用継続を求めて一人デモを行っていた運転手をこの甥っ子が金属バットを使ってボコボコにしたというもの。
その際、甥っ子が「一打あたり100万W(約10万円)だ!」と言って、バットを振り下ろした事実が明らかとなっている。
また、運転手の口にトイレットペーパーを詰め込み、後頭部を殴りつけ、最後は2,000万W(約200万円)を放り投げたというが、当時はその残酷さが話題となった。
もっと遡ると、2007年にはハンファグループの会長が、息子のケンカ相手に報復するという事件も。
あのときはボディガードや暴力団を連れて行き、凶器を使用して相手に暴行を加え、もちろん逮捕された。
↑ほとんどヤクザ映画の世界
そんなニュースを見聞きするたび、財閥は何でもアリなんだと思っていたので、本作もあながちフィクションとは言い切れず、よくぞここまで描いたなーというのが率直な印象だった。
だって…、なんだかんだ言っても、韓国って、やっぱり財閥に依存している国だと思うので。
笑いの要素はタップリあるけど、一方で残酷なシーンも。
その残酷な部分はおそらく、先のSKグループの事件を参考にしたのではないかと想像するが、子供の目の前で父親が殴られるシーンは胸が痛み、吐き気を覚えるほどだった。
こうした弱い立場の労働者は『未生』や『明日へ』に通ずるものがあり、やり切れない気持ちになる。
1本の映画でこれだけ笑ったり、怒りに震えたり、爽快な気分になったのは久しぶり。
気性の荒いドチョルと広域捜査隊のキャラが立っていて、すごく愛着を覚えましたし、ユ・アインの大バカ野郎ぶりもいい。
憎たらしくて、この男をどうしてくれよう…と思わずにいられない(笑)。
終盤の明洞でのカーチェイスやアクションシーンは必見!
この明洞での撮影を敢行するにあたり、監督のみならず、なんとファン・ジョンミンまでもが管轄署に協力を求めに行ったそう。
その結果…。
明洞8車線道路に80台もの車両を投入し、4日間に及ぶ撮影が実現したんだとか。
「よくこんな繁華街で撮影できたなー」と、ソウル好きの方はきっと驚くに違いない。おそらく、このシーンもDVDで見ちゃうと魅力が半減すると思うので、興味のある方は劇場へGO!
…って、こんなに感想を長く書いたのも久しぶり♪
オススメ度 ★★★★★