フランスの会社が投資して配給した映画『バニシング・未解決事件』。今週、日本でも公開される。
『バニシング:未解決事件』
(原題:『バニシング』/2021年/フランス、韓国/88分)
© 2021 The French Connection
2022年5月13日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国ロードショー
詳しいあらすじや公開情報等は公式HPをご覧ください。
映画あらすじ
ソウルで怪死事件が発生した。
身元不明の遺体は指紋が損壊され、傷らだけの状態で発見される。
捜査する刑事ジノ(ユ・ヨンソク)
手がかりを探るため、シンポジウムのために来韓していた人物に協力を要請する。
国際法医学者のアリス(オルガ・キュリレンコ)
彼女の最先端の技術によって指紋を再生。
狙われているのは中国から韓国に出稼ぎにやってくる労働者。
中国人労働者はブローカーに紹介された韓国人家族の家政婦となるが、その家の主は裏社会の運び屋(チェ・ムソン)だった。
アリスの協力により事件は新たな展開を見せる
ジノとアリスは背後にいる組織を追い詰めるが-。
*****
スコットランドの作家ピーター・メイの小説『The Killing Room』が原作の映画。
韓国での売りは『ミナリ』に続く“グローバルプロジェクト”。去年の釜山国際映画祭でワールドプレミア上映されたそうだが、映画としては失敗に終わったのではないかと思えてならない。
いくらなんでも無理のあるストーリー。こんな都合のいい展開はさすがにない。しかもサスペンスかと思っていたけど、違うジャンルになったり。事件の緊張感は感じられない。
主要キャストはほぼ韓国人俳優で、しかも撮影は100%韓国。
にもかかわらず、国籍不明、ジャンル不明の映画になってしまい、当然、韓国での興行も惨敗。
今年3月に公開されるも、観客動員数は3万5千人にとどまっている。
ジャンルとしては犯罪スリラーになるようだけど、スリラー的要素はあまりない。映画の好みは人それぞれだから、中にはこの映画を絶賛する人もいるかもしれないが、、、撮影中に俳優陣から疑問の声が上がらなかったのかしら。
明洞や南大門も登場!
観光映画と思って見るとストレスはないかも。
特筆すべきはミュージカル俳優が多く登場。
闇の組織の片腕が『アイーダ』などの作品で目にしているキム・ウヒョン。ちょっと佐々木蔵之介っぽいw
映画でこれほど存在感を発揮できるとは。新たな発見だった。
中国人家政婦役には日本のミュージカル『ミス・サイゴン』でキム役を演じていたキム・スハ。中国人労働者にしか見えなかった。
ジノ刑事(ユ・ヨンソク)の後輩刑事役はキム・デヒョン。
途中、何度か顔がアップになったりしたので、事件の鍵でも握っているのかと思いきや、まったく無関係だった。
病気の男の子ヘンリーの父親役には、号泣した『ミス・サイゴン』が印象的だったマイケル・リー。
監督は『追撃者』『母なる証明』『殺人の追憶』を参考にしたというので韓国映画に対するリスペクトはあるものの、作品からはそれが微塵も感じられなかった。
中国社会の闇を背景にしようとしたようだが霧散したという。それで中途半端になったのだろうか。
終盤になるほど話がひどくなり、最後は予想外な終わり方。今のところ今年のワーストかもしれない。この映画を下回る映画はないのではないか。
とはいえ、映画は本当に好みが大きく分かれる。ユ・ヨンソクのファンは楽しめるんじゃないかと。
オススメ度 ★★☆☆☆
007/慰めの報酬 ボンドガールはオルガ・キュリレンコ! |